楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
                                              (初演1868年バイエルン宮廷歌劇場)

ニュルンベルクのマイスタージンガー 作品紹介
[主な登場人物]
 ザックス・・・靴屋のマイスタージンガー
 ベックメッサー・・・市役所書記のマイスタージンガー
 ポーグナー・・・金細工師のマイスタージンガー
  ワルター・・・フランケン地方出身の若い騎士
 エヴァ・・・ワルターに恋するポーグナーの娘
 ダーヴィット・・・ザックスの徒弟
  マグダレーネ・・・エヴァの乳母

(第1幕)
 16世紀のニュルンベルク。フランケン地方の騎士ワルターは教会で金細工師ポーグナーの娘エヴァに一目ぼれする。それに気づいたエヴァもまんざらではない様子。しかしエヴァは明日の歌合戦で優勝したマイスタージンガー(親方歌手)の花嫁になるのだった。その歌合戦にはマイスタージンガーの地位にある人しか出場できない。そのことを聞いたワルターはマイスタージンガーの歌試験のため準備にやってきた徒弟のダーヴィットにアドバイスを求める。

 自らもマイスタージンガーになるために靴屋のマイスタージンガーであるザックスのもとで歌を習っているダーヴィットは歌の規則がいかに難しいかを語り、その試験では記録係によって7つ以上の間違いが記録されると失格することを教える。これを聞いたワルターは規則の煩雑さに頭を抱えるが、マイスタージンガーとはそのうえで独創的な詩と旋律で新しい音楽を創る人であると聞いて希望を取り戻し、これからおこなわれる歌試験に合格してマイスタージンガーの称号を得て、明日の歌合戦に出場しようと決心する。

 そこへ歌試験のため12人のマイスタージンガーが会場に集まってきて歌試験が始まる。しかしエヴァとの結婚を望むマイスタージンガーのベックメッサーが記録係としてワルターの歌を審査したため、すぐさま失格扱いとされる。ワルターの歌に感ずるところのあったザックスはワルターを弁護しようとするが、自由奔放な彼の歌は、他のマイスタージンガーにも受け入れられない。さらにワルターはそういったマイスタージンガーを挑発するため、ワルターの落第は決定的になり大騒ぎのうちに散会する。



(第2幕)
 夕刻になり靴屋のマイスタージンガーであるザックスは仕事を始めようとするが、今日耳にしたワルターの歌が頭から離れない。一方、エヴァもワルターの試験の結果が気になって仕方がない。隣同士で幼いころから面倒を見てもらっていたザックスに結果を探りに行く。

 ザックスは彼女の気持ちを察しているが、わざとはぐらかしたり気を揉ませたりして本心を探る。エヴァはザックスに対する好意を口にする。妻を早くになくしたザックスはエヴァに対する愛情を心に秘めていた。しかし彼は若い二人のために自分は身を引くことを静かに決心する。エヴァとの会話の中でワルターに対する彼女の気持ちを改めて察したザックスは一芝居打つことを考え自室に帰る。

 エヴァが帰宅すると、乳母のマグダレーネが明日の歌合戦に出場するつもりのベックメッサーからの伝言をエヴァに伝える。それは今夜彼女の家の窓辺でセレナードを弾くので是非聴いてほしいというものだった。困惑したエヴァはマグダレーネに自分の身代わりに窓辺に立ってもらい、その間に彼女はワルターと密会する。

 ワルターはエヴァを駆け落ちに誘い、エヴァもそうしようと決心する。ところがその時、ザックスが路上に明かりを放ち2人の行方を阻む。さらにベックメッサーがセレナードを弾くためにエヴァの家の窓辺にやってきたため、二人はその場に潜む。

 やがてザックスが外に出てきて、駆け落ちをしようとするエヴァを戒めていることを暗示するような歌を大声で歌いながら靴を作り始める。実はザックスは二人の駆け落ちの話しを自室からこっそり聞いていたのだ。

 一方ベックメッサーはザックスの歌がうるさくて、エヴァ(実際はマグダレーネが立っているのだが)にセレナードを弾くことができない。怒るベックメッサーだったが、ザックスはベックメッサーの靴を作っているため無下に止めさせることはできない。そこでベックメッサーがセレナードを歌い、間違いを犯したらザックスは靴の底を叩くという具合に、採点しながら靴も仕上げていくという話しになる。

 窓辺に座るマグダレーネをエヴァだと思い込みベックメッサーはセレナードを歌い始めるが、採点係のザックスは曲が始まると歌の間違いがあったということで靴を絶え間なく叩き続けるので、ベックメッサーはなかなか歌を進めることができない。逆にザックスが作っていたベックメッサーの靴はみるみるうちに出来上がっていく。

 そうしているうちに、窓辺に座っているのが恋人のマグダレーネだと気づいたザックスの徒弟ダーヴィットがベックメッサーに襲いかかり、それをきっかけに町中が大喧嘩になる。



(第3幕)
 いよいよヨハネ祭の朝、歌合戦の当日を迎える。昨夜の大喧嘩のあとザックスの家に泊めてもらったワルターは素晴らしい夢を見たと言う。ザックスはワルターにその夢をもとに歌を作り上げるように説得する。
 ザックスの指示にしたがってワルターはマイスター歌曲を作り上げ、ザックスはその歌をメモに書き留める。そこへベックメッサーがザックスの家へやってきて室内を騒がしく物色したすえに、ザックスが書き留めたワルターの歌を見つけて盗み取る。

 ザックスが歌合戦で求婚の歌を唄うと勘違いしたベックメッサーはザックスに喰ってかかり、歌が書かれたメモを盗んだことを洩らしてしまう。しかしザックスは気前よくその歌をベックメッサーに渡す。

 いよいよ歌合戦の開催。マイスタージンガーたちと徒弟や娘たちが一同に会するなか、エヴァの求婚者としてベックメッサーがまず歌を唄う。

 しかし昨夜のセレナードの旋律に、先程ザックスの家で盗んだメモ書きの歌詞を無理やり当てはめて唄ったベックメッサーは歌詞も読み違え、とんでもない歌を唄ってしまい嘲笑をかう。窮地に追い込まれたベックメッサーはこの歌がザックスの作であると暴露する。

 この時を待っていましたとばかりにザックスはこの歌は自分の歌ではないと言って、この歌を正しく唄うものこそ本当の作者であるとしててワルターを紹介する。ワルターは見事この歌を正しく唄いきり、人々はワルターの歌を讃える。

 ポーグナーはワルターにマイスタージンガーの称号と娘エヴァを同時に与えようとするが、ワルターはマイスタージンガーの称号は拒絶する。

 これを聞いたザックスはワルターの態度を諌め、ドイツ芸術を讃えドイツ的で真実なものを守り続けようと唄う。ワルターはこれを聞いてマイスタージンガーの称号を受け入れ、一同ドイツ芸術とザックスを讃えながら幕となる。

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